先輩★内緒の片思い
一緒に絵を見ていた阿部先輩も「こりゃあ、覚えるのは大変そうだなあ」と私に同情の目を向けてくれた。


うう、せんぱーい。


「暗記苦手~」


唇をとがらせて武内を恨めしく見ていると、岸谷先輩がポツリと言った。


「覚えられなきゃ、カンニングするんだな」


「カンニング、ですか?」


私が岸谷先輩を見ると、先輩は咳払いして言った。


「ほら、テレビとかでADが画用紙にでっかい字書いてタレントに見せたりしてんじゃん。
ああいうの作っておいて、舞台袖の南に出してもらえばいいんじゃねえの?」


私は光明を見い出した思いだった。


「それならできそうです!」


< 230 / 388 >

この作品をシェア

pagetop