先輩★内緒の片思い
戸惑う私の手から荷物を奪い取った先輩は先に立って駐車場に向かった。


「あ、ちょっと待ってください」


足の速い先輩を、私は小走りで追いかけた。


「あの、困ります。
私電車で帰りますから!」


真菜香にああは言われたけど、まだ気持ちの整理がついていない。


そんな状態で、岸谷先輩と2人きりになるのは避けたかった。


しかし、岸谷先輩はさっさと後部座席に荷物を積みこみ、助手席のドアを開けて私を見た。


「本当に結構ですから。
荷物、返してください」


すると、岸谷先輩は私の目をまっすぐに見て言った。


「河野」


先輩の真剣な様子に気圧された。


「はい……」


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