先輩★内緒の片思い
「河野、逃げるなよ」


そう言うと、先輩は私の腕をつかんで引き寄せた。


とっさのことで、私はあっけなく先輩の腕の中にすっぽり取り込まれてしまった。




ふわあ!


先輩!!


私、先輩に抱きしめられてる……




「ちょっ、先輩!?」


押し返そうとしたけれど、先輩は腕を緩めるどころか、ますます強く私を抱きしめた。


「どんな顔していいのかわからないから、このまま聞いてくれ」




先輩!?


頭の中は疑問符だらけだ。


でも、先輩の声は真剣で。


だから私は、先輩の胸に顔をうずめたまま小さく頷いた。


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