先輩★内緒の片思い
卓はすでに食事用のタオルを握って、自分専用の椅子に座っていた。


母も席に着くと、真菜香がたずねた。


「おじさん、まだみたいですけど、先に頂いちゃっていいんですか?」


母は笑いながら答えた。


「パパはいつも11時過ぎにならないと帰ってこないから、待ってたら真夜中になっちゃうのよ、気にしないで」


微笑んで頷いた真菜香は、今度は卓がずっと左手に握っているタオルに気づいた。


「卓くん、そのタオル、お気に入りなの?」


「……うん、お誕生日会」


「お誕生日会?」


フフ、それだけじゃわからないよね……


「5月に幼稚園でやってもらったお誕生日会でもらってきたの。
それ以来、食事用のタオルとして使ってるんだけど、食事中、ずっと離さないんだ」


私がフォローすると、真菜香は「そうなんだ」と頷いた。


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