坂道
しかし、今回は違った。


「うるさいっつーの、しかも毎回会うたんびに笑ってくるな!」


それが淑紀さんの言葉だった。


淑紀さんを遠くに感じてすぐのことだったから、私には予想以上のショックだった。


気がつけば、目に涙がたまってきていた。


「わかったよー、ごめんなさいっ」


私は必死でばれないように言葉を返した。


そして、ここに立ち止まっていることさえ苦しくなった私は、バイバイと手を振ると素早
く家に戻った。
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