先輩と私
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階段を一気に駆け下りる。上るのよりも断然早い。すぐに2階。教室に入るとお弁当の匂い。すでに昼食休みは15分過ぎていた。
私は、自分の席からお弁当を取って、窓側の前から3番目のちょうど壁があって日光が入らない席に向かう。
そこは、私のクラスで1番仲のいい友達の席だ。
「沙樹ちゃん」
声をかけるとこっちを向いた。私は、彼女の前の席に座る。
私が後ろにある彼女の机の隅でお弁当を開き出すと彼女は机の上を片付けて、自分もコンビニの袋を出した。
「まだ、あいつに弁当作ってるの?」
沙樹ちゃんがコンビニの袋から惣菜パンを出しながら不機嫌そうに尋ねてくる。
「うん」
私は小さく頷いた。これを確認すると沙樹ちゃんはため息をつく。これはいつものことだ。
「いい加減止めたら?彼女でもないんだし。めんどくさくないの?」
これもいつも通り。沙樹ちゃんは私が先輩にお弁当を持って行くのが気に食わないらしい。
理由は、私がバカに見えるからだって言ってる。で、そんな友達は嫌だ。らしい。
でも、そんなこと言って沙樹ちゃんは私のことを心配してくれている。
それは嬉しい。
「止めないよ」
私ははっきりと答える。沙樹ちゃんは飽き飽きした顔をした。そして、理解出来ないという顔をした。これもいつも通り。
それでも心配してくれる沙樹ちゃんには、とても感謝している。
それに私が友達でも、止める。先輩とのこんな関係。
毎日早起きしてお弁当作って、学校の登下校を待つ。他にもいろいろ。必然的に先輩の時間に支配される。
でも、先輩と私だから止めない。