DEAR...
―…姫と話し終わった拓磨は戻ってきて
「…今日は帰るって」
そう言いながら俺の肩に手を置いた。
…姫が帰ると聞いてなぜか安心した。
安心したけど…
ほんの少しだけ…
拓磨に対してイライラした気持ちがあった。
それは姫が拓磨に笑顔を見せたからだと思う。
拓磨に見せた姫の笑顔は優しかった。
もう
俺には見せてくれなくなった笑顔だったから
「姫菜って拓磨には素直だし優しいよな。」
「前は俺らにもだったのにな。」
確かに姫は俺とこんなふうになる前は祐介や光輝にも素直で優しかった。
でも
こんなふうになったのは姫の性格からして当たり前なのかもしれない。
「姫菜は鏡みたいな性格だからな。」
「鏡?」
「お前等の姫菜に対しての態度が今の姫菜がお前等に対しての態度だよ。」
そう
姫は昔から自分に対しての態度を相手にする。
まるで鏡みたいな性格。
だから自分を大切にしてくれる友達は大切にする。
もし
裏切られたら相手に何をするかわからない。
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