DEAR...


――…

「…はよ」

「姫ちゃーん」



学校に行くと柚がすごい笑顔で話しかけてきた。



「なに?」

「遼君が探してたよ。」

「上西(うえにし)が?」

「うん。」

「へー…」



柚は嬉しそうに言ってきたけど
それを適当に流し自分の席に座り机に俯せになった。


アイツが探してたって関係ない。


アイツには会いたくない。



「行かないの?」

「どこに?」

「遼君のところだよ?」

「行かないよ。」



行ってどうなるの?


アイツは私を嫌ってるのに…



「なんで?」

「アイツの顔なんか見たくない。」



私を冷たい目で見るアイツの顔なんて見たくない。


会いたくない。


.
< 21 / 79 >

この作品をシェア

pagetop