DEAR...


「……ン…」



目が覚めたら私の瞳からは涙が流れていた



「…誰の手だったのかなぁ」



夢の中の手は本当に暖かくて大きくて安心した










―だから…



「姫ちゃん起きた?」



誰かの話し声が聞こえたかった思ったら柚がカーテンを開けた



「大丈夫。ねぇ誰かいた?」

「え…誰もいないよ?」

「…そっか」



柚が嘘を吐いたのはすぐにわかった


私の目を見ようとしなかったから


でも


ゆずの嘘は私のための嘘だ



自分が傷付かないように自分を守ろうとする私の嘘とは違う


柚の嘘には私が傷付かないようにって優しさを感じた


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