DEAR...


「ハァハァ……泉!」

「遼平君、どうしたの?」



俺は保健室から泉の教室まで走ってきた。


途中で先生に注意されたけど走った。



「ハァ……て…」

「え?」

「別れてください」



人に頭を下げるのは嫌いだ。


嫌いだけど俺は泉に頭を下げた



「…私のこと嫌いになった?」



嫌いになったんじゃない



「そうじゃない」

「なら、なんで?」

「それは…」



言葉に詰まってしまう。


嫌いになったわけじゃないけど
どう説明して良いかわからない。



「嘘」

「え…?」

「遼平君が私のこと好きじゃないことくらい気付いてたよ」

「…ごめん」

「私のこと名前で呼んでくれたことなかったもんね」

「……」

「楽しかったよ?ありがとう」




そう言って泉は教室に戻っていった






「名前で呼んだことない、か」



確かに俺は女を呼ぶときに苗字かさんやちゃんを付ける


名前を呼ぶのはたった一人だけ…


「…行くか」



俺は名前で呼ぶ
たった1人の元に走り出した


.
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