再生
「私、あなたにこんなに迷惑ばかりかけて良いのでしょうか…」
すると、彼は真顔になった。
「そんなこと、考なくていい。俺は、お前の記憶を戻すことに全力を尽くすと決めたんだ」
「でも…」
「夏実」
彼は夏実の眼をじっと見詰めた。
「だから、お前は俺を信じて、記憶を取り戻すことに全力を尽くして欲しい」
夏実も彼の眼を見た。
そしてゆっくりと頷く。
「よし」
彼は顔をクシャクシャにして笑い、夏実の頭を撫でた。
その瞬間、ある場面が頭の中によぎった。