再生
夏実はアクセルを強く踏んだ。
海岸に向かって真っ直ぐに進んで行く。
夏実はもう黒い海しか見えてなかった。
裕太は何も言わない。
自分の子供を奪った裕太を許すことが出来なかった。
悪魔の裕太を生かしておいたらきっと周りも不幸になる。
―死ぬなら、裕太を道連れにして死のう。
そう決めていた。
車は既に150キロになっている。
裕太は夏実の手を握った。
海岸が近付き、海が目の前に来たその瞬間、
裕太はすごい力で夏実のハンドルを握る手を離し、シートベルトを外した。
『夏実、お前は生きろ』
運転席のドアのロックを外してドアを開け、思い切り夏実を突き飛ばした。