再生
夏実は立ち上がり、
「裕は生きているのよ。元に戻る可能性はゼロではないんでしょう?」
「もちろん、奇跡的に回復された患者は今までに何名かいます。それには献身的な介護と常に彼に話しかけ、会話をしなければなりません」
―これは私の運命なのだ。
仁志が私に必死で記憶を蘇らせてくれた。
仁志の想いを無駄にしたくない。
私は裕太に一生かけて償わなければならない。
「―私が、彼を救います」
夏実は強く自分に誓った。
―待ってて、裕。
必ず、助けてみせる。
夏実は裕太からもらった婚約指輪を、左薬指にはめた。
―FIN―