再生
仁志が仕事休みの日は、二人で必ずどこかへ出掛けた。
近くの公園に散歩へ行くこともあったし、夏実が行きたいと希望したカフェにも連れていってくれた。
夏実は仁志と一緒ならどこに行っても幸せだった。
そして今日は仁志の提案で海に行くことになった。
夏実は嬉しくて、いつも以上に早起きしてお弁当を作った。
「今日は晴れて良かったわね。混んでないかな」
「かもな」
けれど海が近づくにつれて、気分が悪くなっていった。
海が視界に入ると、言い様の無い不安が押し寄せてきた。
身体が震えてきた。
「どうした」
「嫌なの」
「え?」
「行きたくない」