再生
第5章
「―今日、行ってこようと思う」
「え?」
以前に仁志が調べて何度か勧めてくれていた。
「―そうか…俺も行くよ」
「いいの。仁志は仕事があるでしょ?」
「―でも…大丈夫か?」
「大丈夫よ」
彼は夏実を見つめて、
「そうか」
と言い、頭を撫でた。
大学病院にいる神経内科の医師が、脳の研究を行っていて、何人か夏実と同じく記憶を失った人の治療を行っているらしい。
仁志から話を聞いた時は、不安で怖くて行けなかった。
今は早く思い出したかった。