再生

けれど、どうしても思い出せない部分があった。

仁志との付き合ってからのことが全く浮かばない。

「米田先生、私にとって、一番大事な思い出なんです。どうして思い出せないんでしょう」

米田は少し言い渋っていたが、

「おそらく何らかの原因で、あなた自身で制御してしまっているのだと思いますね」

「―どういうことですか?」

「―多分、思い出すと精神的に大きくダメージを受けるからでしょう」

「そんなはずない!仁志との思い出は幸せなものに決まってる」


< 63 / 147 >

この作品をシェア

pagetop