再生

夏実は両親のいる実家に帰った。

母と父は泣いて喜び、兄も夏実の帰りを聞き、戻ってきた。

夏実は自分の部屋に入ると、懐かしくて部屋にある全てを手に取った。

昔の教科書や本、小さい頃のアルバム、服、人形。

「おい、随分散らかしてるな」

兄が入ってきた。

「ねえ、高校と大学のアルバム、知らない?あったわよね?」

「え?知らないよ。お前の部屋をいじると殺されるから、一切触ってないぜ」

嘘だ。

間違いなく、今まで夏実の部屋にあったのは覚えている。

仁志の部屋にアルバムが一冊もなく見せてくれないので、この部屋で探そうと思ったのに。

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