再生

夏実はすぐ返事が出来なかった。

『返事は急がなくても良いよ』

『―うん…ありがとう』


夏実は帰り際、ずっと何故すぐに返事を出来なかったのか考えていた。

自分には裕太しかいない。

結婚する相手は裕太に決まっている。

何を迷っているのだろう?

仕事が大事だから?

でも、私はお嫁さんになることが夢だった。

幸せすぎて、感覚が麻痺しているのかもしれない。

徐々に嬉しさが込み上げてくるのかも。

そう思い、今考えるのはやめた。

車の中でサザンの「いとしのエリー」が流れていた。



< 84 / 147 >

この作品をシェア

pagetop