再生

『どうしたんだ。やっぱり痛いのか』

仁志は心配そうに夏実を除き込む。

『―裕太と何かあったのか』

夏実は黙って首を振った。


しばらく夏実は溢れる涙で上手く話せず、ただ泣き続けた。

仁志も落ち着くまで、黙って見守っていた。

夏実はゆっくり話し始めた。

『私、どうしようもない馬鹿なの。自分の気持ちが今まで全く分かっていなかった。もう取り返しがつかない今になって気付くなんて…』

『どういうことだ』

『―私、ずっと仁志のことが好きだったの』

『――え?』

< 95 / 147 >

この作品をシェア

pagetop