先生×自分
「…ますます好きになりましたよ、南さん」

「ありがとう」

そう言って、とりあえず自分の家に向かった。

タクシーを拾って、向かっている途中…溝川が呟いた。

「初めて好きになったんだ」

「…」

「好きで、振り向いてほしくて…でも嫌な思いしかさせてなかったね」

確かに。嫌なことばっかりしてたしね。でも、良いこともしたじゃないか。

「手の傷、血を止めようとタオル巻いてくれて…泊まらせてくれて、自分を安心させてくれたりしてくれたから許す」

今回だけ、特別に許してあげる。

今回だけだから。

「俺も宮沢が好きだわ」

木田先生が呟いた。

「何なんですかね、今日は。告白が多い日なんでしょうか?」

三人、顔を見合わせて笑いあった。


< 146 / 353 >

この作品をシェア

pagetop