向日葵の下で
再検査の結果が出た。
やはり、軽い脳出血以外の異常はなかった。
私は担当の先生と一緒に個室に戻った雪村さんのところに向かう。
待合室にいた3人も同行させた。
「自分の名前がわかりますか?」
先生はベッドで体を起こした雪村さんにカルテを見ながら尋ねる。
「・・・いや」
雪村さんは首を振った。
「どうして病院にいるのかわかりますか?」
「わからない・・・」
「あの方たちを知っていますか?」
先生は3人を雪村さんに見せた。
「知らない」
即答だった。
3人は改めて現実を思い知らされたようで深く落胆していた。
その後先生は簡単な計算問題や漢字の質問をしていたが、雪村さんは全て答えることができた。
「ふむ・・・そうですか」
先生はカルテにペンを走らせて、コクコクと頷いた。
「おそらく、解離性健忘症ですね」