向日葵の下で
部屋に入ると患者さんは今も意識の無いままベッドに横たわっていた。
頭には申し訳程度に包帯、骨折した足にはギプスを巻いて固定し、強く打った腰にはコルセットを施してある。
先ほどまで着せられていたパンクファッションは先ほど他の看護師が着替えさせたようで院内専用の浴衣を纏っていた。
「なんか、久々に樹の顔見たって感じになっちゃうね」
小柄な男の人はいまだに大きな瞳から涙が止まらないようであった。
男の人ではあるが、やはり可愛らしい顔立ちなので目がウルウルとしていて子犬みたいな人だ。
わたしは3人分のパイプ椅子をベッド脇に用意して3人に座るように促した。
「それでは、何かあったり患者さんの意識が戻りましたらナースコールでお呼びくださいね」
私はそれだけ言って部屋を退出した。
部屋を出る際にチラリと振り返ったところ、3人とも立ち上がって深く頭を下げていた。
私も一度深くお辞儀をして扉を閉めた。