MIXture☆special
些か投げやりに向かった、パーティー会場。
英家が所有する、会場のひとつだ。
「野本、此処でいい」
運転中の野本に、車を止めるように促した。
「涼雅様、しかし・・・
此処からですと、15分ほど歩かねばなりませんよ?」
野本が心配をするのも、無理はない。
広大すぎる敷地のため、まだまだ会場まで程遠いからだ。
「いや…、たまには歩きたいと思う。
悪いな・・・」
「かしこまりました。
どうぞお気をつけて――」
俺の言葉に了承すると、ゆっくりと車を停車させた。
走り去る車を見たあと、会場へと歩を進めた。
今の時期は、イングリッシュガーデンのような景色。
様々なバラが咲き誇っており、華やかな庭園になっている。
いつもは、車でサーッと通り抜けるだけ。
じっくり庭園を見たのは、初めてかもな・・・
たった数歩の間で、発見が出来るとは。
たまには、出歩いてみるのも悪くない――
自嘲して、会場へと向かっていた時だった・・・