a wings
杏里≠麗
目を覚ました杏里はベッドから起き上がり、あたりを見回す。
カーテンの隙間から弱々しく差し込む朝日が、水色の壁紙にうっすらと反射している。
梅雨ののおかげで、昨日の夜まで降り続いていた雨はようやく止んだらしい。
カーテンを開けると、雨と朝露に濡れてきらめく、すがすがしい朝の町が広がっていた。
杏里は立ち上がり、のろのろとドアに向かった。
―下に行くのはいやだ。
あいつがいる。
朝っぱらからあいつの顔なんて見たくない