恋色アンブレラ
昔からアウトドア派の私にとって雨は天敵だった。

髪の毛はまとまらないし電車はいつより混むし、乗ってる間に周りの人の傘で制服は濡れるし。考えれば考えるほど雨は最悪なものだった。

たった今出発した電車の、やはり7時45分に1番近い時間の梅田行きの4車両目の後ろのドアに、満員電車の人に押されてドアに張り付いていた彼をみつけたのだ。

やや長い髪、大きな二重なのになぜか冷たく見える瞳、薄い桃色の唇、なぜだか少し緑がかって見える艶やかな髪、スジの通った鼻筋、女顔の中にみえる男の魅力。

何かを感じた。あぁ、私の今までの失恋はこの日のためにあったのか。

直感だったけど、実感だった。現に私の直感は8割がたあたる。

完璧だった。男っぽい顔立ちが好きな人にはそうでもないだろうが私にとっては完璧の顔だった。

ただひとつ欠点があった。男にしたら背が低い。小学生でも大きい子はこれぐらいあるだろうってぐらいの身長だった。

私の身長よりも5センチ低い位じゃないか。

でも、そんなことはかまわない。身長に好みはないし、身長で人を決めてはならない!

理屈は通っていないが自分の考えを納得させるためには十分だった。

心臓が爆発しそうだった。

ドクッドクッと脈を打つココロはその動きを徐々に速まる。

これが、「一目惚れ」か。そう感じた。

たとえ一目惚れというものが初めてでもはっきりとわかるぐらいだった。

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