恋色アンブレラ
私にはその頃「彼氏」と呼べる存在がいた。

しかし私はその相手に「恋」をしてはいなかった。

自分で言うのもおかしいが私はそれなりにモテた。特に年下に。

私は吹奏楽部の部長で結構人前に立つ機会が多い。

同級生は私がどんな女なのかを知っていてる。ってか私は女子よりも男子のほうが友達が多いぐらいだから男子は私を「女」とは思っていないのだろう。

中3の私にとって年上との出会いは少ない。

2年の時にテニス部のキャプテンの先輩に憧れた。そして告白した。

でも、やはりというかなんと言うかその先輩はモテたし彼女だっていた。私は人に言わせると大人っぽいらしい。実際は大人っぽいどころか男っぽいと思うけど。

それで、いつも年下にしかモテない。年上には生意気がられることが多い。

そして、今年の春に二年生のなかで1番モテるという男の子に告白された。彼は騎士(ナイト)なんていうキザな名前に似合わず素直でまっすぐで優しい子だった。

ナイトは吹奏楽部の直属の後輩で、私と同じサックスを受け持っている。
告白されたのも練習中でさほど驚きもしなかった。

ナイトは秘密ということを知らなくてマウスピースをどんな方法で割ってしまっても、私の宝物の鏡を割ってしまってもへらへらと謝ってきたのだ。

でも、最後はナイトの潔さに負けて許してしまうのだった。

ナイトは嘘をつかない。それは確実だし、私もナイトの事は嫌いじゃなかったし、あんまりにも必死なので私たちは付き合うことにした。

今では私もナイトは大切な存在だったが、熱しやすく冷めやすい私のなかでナイトはもはや時の人となっていた。

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