殺人許可日
先生があたしの代わりに少女をおぶってくれる。

そんな先生を見つめながら、昔もこんな事があったけ…と昔を思いだしてしまった。


そうあれは、いまから半年前の事ーーー



バシャァ!!

「冷た…」

トイレに入っていたら突然水が上から降って来た。

またか…。

「きゃはははっ!ねえ早く次、次!」

甲高い声で指示するリーダー格の女の声がトイレに響く。

「はい」

小さく聞こえた声に胸が痛いくらい震えた。

…雪子、ちゃん。

バシャァ!!

「…っやめて!」

もう髪も制服も全部ビチョビチョだ。

これが、始まったのはいまから1ヶ月前の事だ。
人はこれをイジメと言うだろう。

イジメられるようになったキッカケは…親友の裏切り、あとは…あたしの暗い性格とか?


何回水が降ってきただろうか、

しばらくして飽きたのか雪子ちゃん達は去っていった。



「寒…い」

季節はまだ5月だ。

制服に張りつく制服が体温を奪っていく。

寒い。
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