殺人許可日
先生はあたしが入っているトイレのドアを軽く叩いた。


「…ゆい?」


もう一度あたしの名前を呼ぶ。

その声が優しくて温かくてーーー

あたしは思わず、ドアを開けて先生に抱きついた。

「せ、んせ…っせんせぇっ…あ!」

あたしはびしょびしょだったことに気づいて、慌てて離れた。

「ごめんなさい…先生も濡れちゃいましたよね…」

「かまわないよ。大丈夫か?」


「あ…」

今度は先生からあたしを抱きしめた。


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