殺人許可日
「医務室ついたぞ」


先生は医務室のドアを開けると、少女を医者のもとへと連れていった。


あたしはそれをぼんやりと眺めていたけれど、先生がすぐ戻ってきて、あたしの隣に座った。

「ゆい」

「…はい」

分かってるよ先生。
先生の言いたいことは。

「俺はお前に人殺しなんてさせねぇからな…ゆい」

先生の真剣な眼差しに思わず息を呑んだ。


「…もう遅いです。事実、あの少女の足を打ったのはあたしですよ…先生」

「…………でも、ゆいはあの少女を助けようとしてた」

「え?」

「確かに打ったことは…悪いことだ。でも、相手から仕掛けてきたんだろ…?ゆいは優しい子だから自分から危害を加えたりしないハズだ」

「…違いますよ、あたしはそんなにいい子じゃありません」

「ゆい、お前が誰を殺したいのか…分かってる。
ゆい、憎しみは憎しみにしかならないんだ。

殺人なんて、させないからな。

絶対…」
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