新!狼×天然【番外編】
あたしはいろいろ実紅ちゃんのことを考えてて、洸太といるのにボーッとしてしまった。
「奈瑠、大丈夫か?」
「え?う、うん」
「ほんとに?具合悪いんじゃないの?」
洸太はあたしのおでこに、そっと自分の左手を置いて、熱があるか確かめてくれた。
『熱はねぇな』って安心したように言う洸太を見て、胸がキュンてした。
あたしは洸太の、心配してさりげなくおでこに手を置く仕草が好き。
大学生なのに。
洸太と付き合って3年になるのに。
洸太と実紅ちゃんっていったら、実紅ちゃんの方が大好きなのに。
あたしはキュンてする。
洸太の仕草に、今でもキュンてする。
まるで片思いしてたあの頃のように。
今でもキュンてする。
「体調悪くないよ。それよりさ、話って何?」
「…あ、あぁ。昨日突然連絡来たんだけどさぁ」
「ん?」
「来週の日曜日、中学の同窓会があるから行ってくるな」
「……え?」
これ以上、洸太の話を聞きたくないと一瞬思ってしまった自分が、憎かった。
「3年の時のクラスで久しぶりに集まろうってなってさ」
「……うん」
「駅にオシャレなイタリアンレストランあるだろ?そこでやるんだってさ」
「……ん」
「だから行ってくるな」
“同窓会”って聞いて、一瞬頭を過った、洸太の“元カノ”
あの子も来るんじゃないかって………あたしには嫌な予感がした。
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