新!狼×天然【番外編】
きっと洸太は、あたしがこんなに嫉妬深いなんて知らないだろう。
あたしがこんなに過去を気にする女なんて知らないだろう。
だって見せてない。
だって見せたくない。
こんなあたしを見たらきっと洸太は幻滅して……………しまうって思ってたのに。
「あいつは来ないよ」
洸太はあたしが何かを言う前に、そう言った。
………すぐに“あいつ”が誰のことか分かった。
「もしあいつが来るんだったら、俺は絶対行かない」
もしかしたら洸太は………この同窓会の話をしたときから気づいていたのかもしれない。
あたしが元カノ、洸太のいう“あいつ”が来るんじゃないかって不安になってたこと。
だけどそこはわざと触れなかった。
あたしが気づいてほしくなかったから。
洸太は………自然と気遣ってくれる………そういう人だ。
「奈瑠が不安になることだけはしたくない。あいつが来なくても、同窓会に行ってほしくないなら……」
「楽しんできて?」
「え?」
「同窓会、楽しんできて」
そう言ったあたしに、洸太は優しく笑って………
頬にキスをした。
【END】
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