新!狼×天然【番外編】



実紅と初めて会ったのは、高校の入学式じゃない。



実紅は知らないかもしれないけど、覚えてないかもしれないけど、俺ははっきりと覚えてる。



卒業式があと3日と迫ったあの日、日曜日だったから俺はその時付き合ってた彼女と繁華街へ出掛けていた。



その時付き合ってた彼女は、1つ上のこの辺り一体を仕切ってる悪いグループのトップに気に入られていた。



でもそのトップがあまりにもしつこくて、俺に彼氏になって、そのトップを諦めさせてほしいと言われた。



俺はちょうど彼女がいなくて、何の躊躇もなくOKした。



でも、それがそもそもの間違いだった。



その日、俺と彼女が繁華街を歩いていると、グループの一員である男数人が前から歩いてきた。



さすがに彼氏がいるって分かってれば、彼女には何もしないだろうと、安心してすれ違おうとした時だった。



「おい、待てや」



数人の1人が俺の前に腕を伸ばして、俺を無理矢理止めた。



やべぇなって思ったのも束の間。



「面(つら)貸せや」



俺と彼女は、そのグループが生徒の数の3分の2をしめているという高校の裏に連れてこられた。



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