新!狼×天然【番外編】
そして彼女は、次にハンカチで俺の瞼に触れて、ゆっくりと口を開けた。
「心配するに決まってるじゃない」
「………」
「確かに仮の彼氏になってもらっただけだけど」
「………」
「あたし」
「………」
「本当はね」
横たわってる俺の顔に、彼女の瞳から零れる涙が落ちて、俺の顔を濡らした。
な、な、泣いてんのっ?!
は?は?は?
意味分かんねぇ。
何でお前が泣く?
まったく彼女の泣いてる理由が分かんない俺は、ただ痛い身体で必死に起き上がろうとしてた。
何で………………お前が泣く?
こいつの言ってる意味が分かんねぇし、こいつが泣いてる理由も分かんねぇ。
俺は普通の男より、女の気持ちが分かってるって自分で思ってた。
だけど今はまったく分かんねぇ。
こいつが何を考えて、何を想って、何を理由に泣いてんのか。
今まで何人もの女と付き合って、たくさん経験してきた俺が、こいつの考えてることが分かんなかった。
.