飛べない天使の子
* * *
昨日は幸せだったなー。
王子いっぱい見れたし。
そういや私達話すようになって1日しか経ってないんだ。あ、なんか感動! そんな出会い至以来だ。
スクールバックを振り回しながら歩いていると、真っ直ぐ伸びた背中発見!!
「おーじ!!」
昨日の今日で会えるなんて運命!?
王子はいつもの綺麗な笑顔で振り返って応えた。
「百地さんおはよう」
「……残念だ。君には失望したよワトソンくん」
「……」
せっかく仲良くなったのにまだ名字に“さん”付け。しかも偽物の笑顔。
残念だよ残念すぎるよ王子。友達になったのに! もしやそう思ってるの私だけ!?
「百地さん?」
「王子! 私達友達になったんじゃないの!? よそよそしすぎるよ!!」
上目づ……下から見上げるように睨みつけた。効果ないことは至で実証済みだから、至より高い王子には屁でもないんだろうけどさ、やっぱり悲しいじゃん?
私はその後も渋る王子を無理矢理説得し、一緒に登校することに成功した。
優しい王子がなぜ断ろうとしたかを深く考えずに……。