飛べない天使の子
……と、思っていたのは放課後までだった。
改めて桂子の注意は正しいと認識し、自分の世間知らずっぷりに泣きたくなった。
只今、パンツ見せびらかしたいのかってくらい短くしたスカートの女の子に囲まれています。
大人数で囲むのはどうかと思いますよ、厚化粧のお譲ちゃん達。
「わかってるとは思うけど」
なら、わざわざ呼び出さないでください。
ルンルンとお手洗いから出てきた私にあの場で注意してくださればよかったじゃないですか。
何も、定番の、体育館裏に連れて来なくてもいいじゃないですか。
「王子に近づくのやめてくんない」
「王子も迷惑してるのわかんない?」
「ヤベノがいるからって好き放題してるんじゃないの」
「桂子は関係ない! それに王子に恋愛感情はないし、友達として好きなだけ!」
「そうやって近づくメス豚が多いんだよ」
「ファンクラブにも入ってないくせに王子と話してんじゃねーよ」
実は怖くもなんともなかった。
桂子が族抜ける時にもっと怖い人達と対峙したし、こんな一方的な恋愛しかできない人間に負けるとは思わない。
腕っぷしも強くなさそうだし、私との差はせいぜい化粧くらいだろう。
……あと、人数。