飛べない天使の子
輝く海の水面(みなも)に上機嫌で桂子は飛び込んで行った。王子のスルメイカ効果だ!
桂子の水着は真っ青なビキニ。スタイル良くて羨ましい…。私もビキニだけど……う~ん残念だ。
「ここはムラムラしたいとこだが、色気ねぇなー…」
「ちょ、何それ! ハニーに言うことじゃないよ!」
「嘘は嫌いだからな」
「ひどい! 王子と浮気してやる!」
至は、まあ、普通の体格じゃないでしょうか。文紀もそんな感じ。
種樹はあんまり筋肉なくて、真っ白のもやしっ子みたいで、お姉ちゃん心配だよ…。
怜生さんは公務員なのに超素敵な筋肉! 桂子が好きそう!
王子は……、
上半身だけなのに鼻血出そうです。
美しすぎます王子。
彫刻みたい。白くて、適度な筋肉が付いてて、左右対称の、カラダ。
やばい、触ってもいいですか?
「おーじ!」
「!?」
「おい、こら、待て」
王子が目を真ん丸にしたのと同じタイミングで、後ろから抱きしめられた…というより捕獲された。
「変態! 触るな!」
「誤解招くようなこと言うな!」
「もっとふわっと少女漫画っぽく抱きしめられないかな」
「もっと抱きしめたくなるような体になってから言え!」
苦笑いして来る王子の後ろに怜生さんと、その他2人。
「百地さん、可愛いピンクの水着だね」
「キュン!」
「口に出るか? てか、良く聞け。“ピンクの水着”がかわいいんだぜ」
「え? ちがっ、百地さんも可愛いよ」
「「……」」
「あ……」
自分の失言に気づいて頬を染める王子。それだけで許せちゃいますが。
至に止められてなかったら確実に飛びついてたよ…危ない危ない。
「王子のカラダの方が美しいよ」
「っっっ!」
「王子を爆発させたいのか」
「いたるー!」
種樹が至にアタックした。服のクッションがない分いつもより痛そうー。
なんだかんだ言い争っていたが結局至が押され負けしたようだ。
種樹に無理矢理手を降らさせられると、海に引っ張られていった。