飛べない天使の子




「期末……」

「やっぱり。赤点あったら海もビキニもない夏休みになるね」

「さくぅぅう!!」

「縋るな。自分でどうにかしろ」


昼休みにジャンケンで負けた私と至はパンを買いに裏道を通っていた。
購買までの秘密の近道。

至があまりにも切羽詰まった表情で縋るので、しょうがなく昼飯1週間と引き換えに先生役を引き受けた。

しばらく他愛もない話で盛り上がっていると、前にいた至が急に止まった。


「……王子が昼寝してる」

「…どうしよっか」


至の後ろから覗くと、狭い裏道に王子がお昼寝中。
本当に狭い道なので私達は王子を跨がなければならない。
王子を跨ぐなんて……できな、


「跨ぐなよ」

「王子よりも飯。背後に佳子も背負ってるし」


そうだね。確かに空腹の佳子は通常より倍怖い。一緒にいる文紀の被害を考えれば跨ぐべきだが……



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