飛べない天使の子


「顔綺麗だなー」

「オイ!」

「触っていいと思う? 絶対すべすべだよ」

「すべきではないな」

「あーほんとにすべすべだ! すげー」

「聞いてねぇじゃん」


普通に私より触り心地いいや。
実は目の保養だけでなく触覚の保養も欲しかったんだよね。

すべすべ……さらさら……ふわふわ…………ふわふわ!?

えっ…ふわふわって何?
明らかに肌の感触じゃないでしょ?


「……れ? 王子ってこんな毛深かったっけ?」

「は? 何言っ……」


至も唖然。私も、唖然。

王子の顔から異常な毛が生えていた。
体毛には見えない白い毛。
例えが見つからない……敢えて言うなら『羽』みたいな。そう、まるで天使の羽みたいな。…見たことないけど。


「いたる…」

「んだよ?」

「私の夢に出て来ないでよ」

「…よく見ろ。現実だ。そしてこいつは王子だ」

「……ん」


ビクゥゥと私達は反応した。
そりゃもう逃げ出したいくらい。
でも、ね…動けないんです。


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