飛べない天使の子
「……金子くんと百地さん?」
「ごめんなさい王子! 私が許可なくあなたの頬を撫で回したから、魔法かかっちゃったみたい……」
「色々誤解招くぞ」
「…ほ、ほ!?」
王子が尋常じゃないくらい慌てて自分の頬を触る。
そして謎の毛に触れた。
私魔法使えたのか。
昔からなんか他人とは違うと思ってたけど、魔女だったのか。
この時代に魔女狩りないよね…?
「…実はこれ、体質なんだ」
火炙りとか嫌だよー!
まだ死ぬには早……ん? 体質?
「王子まだ寝ぼけてんのか? それとも天然か? 女を落とすテクか?」
「王子? 私が魔女だってこと隠蔽しなくていいんだよ」
「……」
王子は呆れたような、寂しそうな顔で笑おうとしていた。でも、それが笑顔になることはなかった。
私と至は目を合わせて、その謎の毛を体質として認めることに同意した。