物の気持ち絵本(絵なし)短編集
ブランド傘の気持ち
私はとても特別

そこらにあるビニール傘と一緒にはしないでくれたまえ

私の家はとても大きい

玄関はとても広い

いつもいい匂いだ

家に来た人はいつも私をほめてくれる

なんたって私はブランド傘なのだ

とても高いのだ

いっつもビニール傘はビチョビチョに濡れて、ボロボロになって戻ってくる

私はもちろん傘立てに大切に入れられている

ビニール傘は玄関の端っこに立たされている

今日も大雨だ

ビニール傘はきっと今日もビチョビチョボロボロになって帰ってくるに違いない

…少しうらやましい

私は一度も雨に濡れたことがないのだ

ご主人様は私を大切にしたいらしい

たまに思う

雨からご主人様を守ってみたい

雨に濡れてみたい

私の見る景色は玄関と晴れた空

ブランド傘とは一体なんだろうか

私はなんのためにいるのだろうか
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