『契約』恋愛
「私なんて、結局ただの飾りでしかなかった。所詮『契約』、ただの遊び…。」
私の言葉に、風春が唇を噛みしめたのが見えた。また胸はぎゅっと痛むのに、それに反して私の口は一向に止まらない。
「女の子なら、誰でもよかったんでしょ?ゲームの相手は、私じゃなくても良かったんでしょ? それなら私に笑いかけないで。優しくなんてしないで。
…『契約』なんてしなきゃよかった…。」
不意に泣き出しそうになり、私は思わずうつむいた。左右で握りしめた両手がふるえる。
そして、聞こえてきた足音とともに、私と風春の距離が徐々に縮まる。でもココロは、測りようがないくらい遠く感じるのはきっと気のせいではない。距離が1mくらいになったとき、口を開いたのは私で…。
「前にも言ったと思うけど、みんなが風春と同じだと思ってたら大間違いなんだよ。
もうハッキリ、終わりにしよう…。」
閉じることを知らない唇が切り出したのは、私たちの関係を根底から消滅させるモノだった。