『契約』恋愛

もう話なんて聞きたくもないし、また「ごめん。」なんて言葉を聞かされるなんてまっぴらだ。なのに、掴まれた左手首のせいで帰るにも帰れない。


「…ごめんなんて言葉、私は聞きたい訳じゃない。 だから離して。」


必死に手をふりほどこうとする私を知ってか知らずか、風春の瞳が私から逸れることはなくて。 ゆっくりと開かれた口から放たれたのは、


「…まだ俺たちの『契約』、期限まで日数は残ってる。だから…、俺の勝手かもしれないけど、残りの期間も俺と『契約』継続してほしい。」


私の言葉をオール無視な上、私との『契約』継続を求める、予想外な風春の言葉…。
でも何よりも。


「何でまた私となの?」


どうせなら、違う子と違う『契約』すればいい。わざわざまた私にする意味なんてない。 そう思うくらい、今の私には風春に対しての不信感が募っていた。
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