『契約』恋愛
怪訝な表情を浮かべているであろう私に、風春はぼそっと呟く。
「雪乃が俺に、空の青さを気づかせてくれたから。」
「……え?」
「え?じゃねぇよ。…ただ、雪乃と過ごす屋上が好きだから。」
よく聞こえず、聞き返した私。
答え直した風春の頬が少し赤く見えたのは、いつの間にか世界をオレンジ色に染めている夕日のせいか、それとも……。
元々人通りの少ない道、今も他に通行者なんていなくて、沈黙が私たちを包む。黙ってたんじゃ、お互いのホントの気持ちなんてわかりやしないのに。
でもこんな中確かなのは、やっぱり私が風春のことを好きだということと、今私の前には風春がいるということ。
掴まれた左手首から伝わる温もりが、それを感じさせていた。