『契約』恋愛
確かに、今終わらせることも一つの道なのかもしれない。 けれど。
どうせ期限付きの契約、期限を越えてまでのつき合いはない関係。後悔しない道を選ぶのなら、私の答えは一つしかない。
「…わかった。『契約』の期限まで、このまま続けてもいいよ。」
ゆっくりと言い放たれた私の言葉に、風春の表情が一気にゆるんだ。
「よかった…。ありがとう、雪乃。」
お礼を言われることでもない。
よかった、なんて安堵することでもない。
ほっとしたような表情を浮かべる風春が呟いた一言に、ちょっとだけ期待にも似た気持ちを抱く。
でもバカだなあ、私。
“あの”佐山風春が、私ごときに恋愛感情を抱くはずがない。契約継続だって、きっと気まぐれに決まってる。
それに、たとえもし仮に風春がそれを抱いていたとしても、私には受け止めることはできないっていうのに…。