『契約』恋愛
side:/ KAZAHARU
「俺のおかげ?」
「ちげーよ、バーカ。」
大志とそんな会話を交わす玄関。
一緒に帰るべく雪乃を待っていた俺は、ニヤニヤ笑う大志に絡まれていた。
「うわひっでー。でも仲直りできたのは、ぜってー俺のおかげだろ?」
「…しつけー。何回同じこと聞くワケ?」
笑みを消すことなく、本日何度目かわからない質問を発する大志。確かにその通りだとは思う。思うけど。素直に口にすることのできない俺は、代わりに小さくため息をこぼした。
「ふっ。ジョーダンだよ。ジョーダン。 にしても、素直じゃないよな風春は。」
「うっせーな…」
くくくっと、押し殺したように笑う大志を軽く小突く。まったく、掴み所の無いやつめ…。「ゴメンゴメン。」ともらす大志を見て、俺からも笑みがこぼれた。