『契約』恋愛

靴を履き替える大志を見ていると、背後から聞こえてくる足音。
顔を上げた大志がニヤリと口角を上げたのを見て、それが誰なのかは容易に想像がつく。


「…噂の雪乃チャンが来たみたいなんで、邪魔者は帰りまーす。 じゃーな。」

「……おぅ。」


去りゆく大志から発せられたのは予想通りの人物名…、それにしても大志は相変わらず一言多い。

振り向くことなく右手をヒラヒラさせて出て行く大志の背中を少し見届け、俺は自分の視線を後ろに向ける。


「ゴメン。待った?」


それと同時にかけられた声に、思わず頬が緩むのがわかった。
< 134 / 286 >

この作品をシェア

pagetop