『契約』恋愛

小さくため息をつき、雪乃の家に背を向けた。 俯き気味で歩く俺に、心地よいとはいえない風が吹きつける。


家に入る間際の雪乃の表情が

どうしても頭から離れない…


好きだと気づいたからこそ心配で。
あんな表情をさせてしまったのに、何にも言えなかった自分が情けない。

雪乃が感じる不安、苦しみ、悲しさ、全部受け止めてやりたくて。
雪乃が泣かないように、そんなの感じないようにしてやりたいのに。

ふと、思い出すのは先刻胸を掠めた疑問…


“俺は何か、大切なことを知らないんじゃないか”


……―なぁ雪乃。

俺は何を知らない?
お前は俺に、何を隠してる?
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