『契約』恋愛
side:/ YUKINO
「あ、雪乃おかえり。」
リビングからお母さんのそんな声が聞こえてきたけど、それに答えず、私はすぐに自分の部屋に飛び込んだ。
持っていた鞄を放り投げ、制服から着替えることなくベッドに潜り込む。
堂々巡りする問いが、ただ、頭の中を支配していた。
…何で。どうして。
問いだしたら、ホントにきりがない。
どうして今更、隆介と会ってしまったのか、何で隆介はあそこにいたのか。
いくら考えても、わからないから……
そして、今一番私を戸惑わせているのは、私に向けられた隆介からの謝罪の言葉。
だって、傷つけるつもりはなかった、だなんて、今更言われても遅い、否、遅すぎる。
現に私はあの日、あの瞬間、
少なからず隆介の言葉に傷ついたの。
裏切られたようで、
見捨てられたようで…。
悲しくて、悔しかった。
こんな自分の身体が、どうしようもなく恨めしかった。