『契約』恋愛
それでも。
未来が見えない私を“怖い”と言う彼に、私が反論できる訳なかった。
それに私は、離れていく彼を止める術を、何一つ持っていなかった。
思い出したくないあの日の記憶に、ぎゅっと頭が締め付けられるように痛み始める。
でも、どうせ別れる運命なら、あのとき隆介と別れていてよかったのかもしれない。
これで私がいなくなっても、隆介が感じる悲しみはきっと、最小限で済むだろう。
風春との関係だってそうだ。
もうすぐ『契約』だって終わる。それが私のタイムリミットであり、私の最期の恋の終わり…。
元気なうちに、この関係を終わらせよう。
「楽しかったよ、ありがとう。」って、
笑って終わりたいから。
だから私は、風春が「好き。」だという気持ちに、しっかりとふたをする。何があっても、再び溢れ出ることのないように。
なぜならこの関係にはもう、契約延長なんて、絶対に許されないのだから。