『契約』恋愛
side:/ KAZAHARU
あの日、雪乃の元彼と遭遇した日から、何だか雪乃の様子が変だ。
まぁ、俺や中沢とかと話してるときはいつも通りなんだけど。
雪乃が1人でいるときは、物思いに耽っているような、何か遠くを見据えているような、心ここにあらずな状態で。
絶対にあの日以前の雪乃とは違う。
…――少しだけ感じる、違和感
その正体はわからない。
わからなくてイライラする。
イライラするからこそ、事実を知りたい。
ちょっと前の俺だったら、1人の女にこんな執着する事なんてなかったんだろうな、なんて考えると、思わず自嘲の笑みが零れた。
頭上に広がる青空にゆっくりと視線を投げると、同時に聞こえてきたのは古くなったドアが開けられる音。
その金属が擦れる音が、開放的な屋上に響く。